アナログオーディオ、インピーダンスの話

よく客から来る問い合わせで多いのがバランス入力機器にアンバランス出力を入れ込んで音が小さいとか言われたり、アンバランス入力しかないスピーカーにバランス入力ブチこんで音が割れるとか。

とっても素人過ぎて返答に困るのだが、この辺は作業する前に知っててほしい。

:バランス:
一般的にグランド(1番)、ホット(2番)、コールド(3番)のピンアサインで構成され、キャノンと呼ばれるXLRコネクターが最も一般的であるが、TRSフォンと呼ばれるステレオフォンプラグなどの規格もある。
入力インピーダンスは+4dB。主にマイクから音響ミキサーなどへのコネクションに利用されており、コネクタにはロック機能も付いている。

バランスは3極仕様のコネクションであり、そのケーブルにはグランド(シールド)が施されているので(よっぽどの安物や粗悪品でなければ)長距離の引き延ばしが可能であり、ノイズにも強い。一方でインピーダンスが高く、扱いにも相応の機器によるレベルコントロールが必要であるため民生機器には向かない。

最近はめっきにお目にかかる事がなくなったが、過去には3番ホットと呼ばれる輸入品のコネクタピンアサインを持った機器も一部存在した。


:アンバランス:
一般的にホットとコールド/グランドを併用した2つのピンアサインで構成されている。
コールドにアースの役割をさせるなどの構成のため電位などの理由からノイズ耐性が弱く長距離の引きまわしには向いていない。

入力インピーダンスは-10dB。
主に民生機器の入出力に使用されており、一般では赤白のRCAケーブルが最も馴染みがあるだろう。アンバランスではRCA形状以外でもフォンプラグ、ピンプラグなど多数の系所のプラグがあるがピンアサインは基本は一緒。

ギターやベースなどの電子楽器系の入出力もアンバランス。
バランス方式は主に編集用音声を収録する場合や、それを出力する場合に用いられる。
アンバランスでは調整可能である範囲が非常に限られている為、マルチトラックオーディオや、状況に合わせた調整をし難い。
対して完全に納品ベースとしての“製品”にはその後調整が必要ではない為アンバランス方式を採用するケースが非常に多く、複雑な調整がタブーとされている民生機器などでは広く採用されている。


バンランス<=>アンバランス変換をコネクタプラグを使えば可能と思っている人間が非常に多いのに驚く。悲しい事に放送局レベルの人間でもこの辺を理解していない人間が以外に多い。
基本的に双方の変換を行うのであれば最も適しているのが音響ミキサー。
アンバランス入力をバランス出力へ、またはその逆もOK。しかし、この変換へ用いられるトランスミッタや基盤レベルでの品質による音質の劣化も考えなければいけないため、機材の選別には経験値が必要である。

アンバランス=>バランスの一方変換だけを考えるならば"DI"と呼ばれるコンバーターが最も安価で使いやすい。DIはダイレクトボックスの俗称で、最もよく見られるのがライブハウスなどだ。DIもその価格帯はピン切りだが、スタンダードはCOUNTRY MANの製品。べリンガー社などが安価なモデルも出しているが、以外に使える。
ま、あくまでPAレベルの話なので波形やニアフィールドでモニタリングするREC環境では音質劣化が躊躇に現れると思われるが・・・・

これらが非常に簡単ではあるが、アンバランス、バランスオーディオの違い。