Final Cut Pro X 〜真実とは?〜

ここしばらく本業に追われ、ブログが完全に放置になっておりました。しかし、この期間に新たに発表されたApple Final Cut Pro Xを使う機会があり、誠しやかにweb上に流れる噂の真偽を身をもって確かめる事ができました。

Final Cut Pro Xではリニア機器との連携として必要であったキャプチャ機能などが完全にオミットされています。つまり、従来のFinal Cut Pro 7では実装されていたログ&キャプチャや、テープに編集、テープにプリントなどの機能が無くなっているのです。

ベースはEOS5DやEOS7D、Redカメラ、Arryなどのカメラからのデーターベースインポート。
つまり、キャプチャ等をしたい時は3rdパーティメーカーの製品と組み合わせる必要があるわけです。
まぁ。。。昔からBlackmagic DesignのMedia Expressなどを愛用してきた自分からすると特に違和感はありませんが…ここらが変な噂の原因になってるんでしょうね。
実際には3rdパーティ社のコーデックサポート状況にもかなり左右されるので、ここはワークフロー次第なんでしょうが、非圧縮ベースや、フルHD解像度ProResならBlackmagic でやりきれます。

さて、それではFinal Cut Pro Xのインターフェイスを見てみましょう。

これがFinal Cut Pro Xのインターフェイスです。新規にプロジェクトを立ち上げる場合、新規プロジェクトを作成した後、新規イベントを作成する必要があります。
イベントを作成したら、次に任意のデーターファイルをインポートする事で、Clipリストにビデオデーターがプールされます。

次にそのデーターをつまんだらタイムラインに落として初期のプロジェクト立ち上げは完了です。

さて、Final Cut Pro Xの最大の特徴は、アプリケーションの64bit化でしょう。この恩恵は、高価なハードウェアでアプリを稼働させている人ほど、預かる事になります。
私の作業環境は8coreの2009モデルMacProですが、Final Cut Proが64bit化された事でレンダリングスピードが凄まじく加速化されました、搭載されているコアスピードを100%使用する事ができるからです!

たとえば、今回作業した素材は20分程度でしたが、Final Cut Pro7ではレンダリングに30分以上かかっていたものが、2分程度で完了してしまいました。この速度にはびっくりです。2分程度の尺なら数秒でした。

画像がアプリの中央に位置しているバックグラウンドタスクにて行われるレンダリングステータス。実際に何かしらの変更をタイムラインに加えると、ここが動き始め、現状のステータスが表示されます。

そしてこちらWindow>Back Ground Taskで開く事のできるバックグラウンド・タスクです。

実際にSnow Leopard、LionのOSで試していますが、どうにもLionの方が動きが早かった感じがします。

編集では、タイムライン上をカーソルでなぞるだけでプレビューができる機能などがありますが、相対的に考えるとFinal Cut Pro 7の編集機能はやはりプロ志向向きに考えられており、Final Cut Pro Xのそれ自体は業務向けに考えると少々厳しいかもしれません…


Final Cut Pro Xでは、数週間前に10.0.1のアップデーターが公開されました。このアップデーターでは、Final Cut ProからXMLファイルを吐きだす事ができるようになりました。これは大きな進歩です。
このXMLは今後他アプリケーションと連携していくことが考えられます。

しかし、吐き出すXMLに二種類ありこれを間違えてしまうと作業が大きく後退するので注意が必要かも?

まずはイベントXML

アプリケーション右側のリストの表示されるイベント、もしくはクリップを選択する事で、メニューからXML Exportを選択する事ができます。これがイベントXMLです。

他アプリケーションと連携していくのは、シーケンスXML
こっちが見難い。タイムラインの下部にある、テープリールのアイコンをクリックする事でシーケンスのXMLを吐きだす事ができます。

テープリールのアイコンをクリックすると、新しいウィンドウが開かれます。


写真では表示されているシーケンスは一件だけですが、もし複数のイベントが存在する場合、ここにはそれらのシーケンスのリストが表示されます。このリストから、任意のビデオデーターのシーケンスを選択する事でXMLを吐きだす事ができます。

このデーターを多種のシーケンスへ持ち込むわけですが・・・・
現状において、

①Final Cut Pro 7 XML ---> Final Cut Pro Xインポート OK
②Final Cut Pro X XML ---> Final Cut Pro 7インポート NG

という状況になっており、中々自社アプリですらXMLのやり取りが上手くできていないようです。
Final Cut Pro Xの強力なレンダリング能力を生かすという意味では、7のXMLが読み込めるのは唯一の救いですが…今後より強力な連携が出来ていくことを期待しましょう。

しかし、Final Cut Pro Xでは、確かにこれまで欲しかった機能も搭載されています。
Final Cut Pro X単体で全てのワークフローをカバーする事は、正直難しいでしょう。しかし、現状においては様々な3rdパーティメーカーがあり、それぞれの特徴を踏まえた機能があります。
これらの組み合わせにおいて、Final Cut Pro Xがその特徴を最大に生かす事が出来る事も、また事実です。

大きな変更が受け入れずらい状況がある事も事実ですが、それはそれとしてFianl Cut Pro Xの特徴を前向きに生かす事ができれば、これまで以上に作業効率を向上させる事ができるのは間違いのない事実です。